ゴーバスターズ 東映 特撮

特命戦隊ゴーバスターズ 最終話

特撮のお約束で理由もなく敵が亜空間での最終決戦に付き合うというのが
ありますが、エンターの場合、ヒロムが亜空間で消滅するのはバックアップを
失う痛手がありますので、ヒロムを連れ帰るために留まるというのは
説得力ありますね。
いくらカードの力でヒロムを守っても、亜空間ごと消滅すればさすがに
バックアップも失われます。
ヒロムが亜空間での決戦を選んだのはそういう覚悟も当然あったでしょうね。
そして、リュウジやヨーコが一緒に亜空間で戦うというのは、同じ覚悟なのでしょう。

消滅しつつある陣の本体を見て心配するJ。
陣のデータの一部に見立てたただのジェンガを大事そうにするJの姿は
泣けます。
ヒロムたちに作戦を説明する陣に対し、ヒロムのカードを取り込んだら
陣がバラバラになるとJ。
この時のリュウジの顔が凄いです。
いきなりこんなこと聞かされたら全員が反対するのは当たり前ですね。
いわば命の交換なのですから。

ここからの陣の説得が熱い。
「J、お前が言う通り、世界ってのはおもしれえよ。だからよ、守ろうぜ、
一緒に」。
何度見てもこのシーンは泣けます。
名シーンの多いゴーバスでもやはり一番の名シーンですね。
このままでは世界が滅ぶ。
陣の消滅しかけた本体を助けるのは困難。
所謂トリアージってやつですよね。
子ども向けのドラマで命を天秤にかける脚本は凄すぎです。
ヒロムたちは自分の親だけでなく、信頼する先輩まで自分たちが
消すことになってしまいました。
重すぎます。

ヒロムと陣を守るために必死で戦うリュウジたち。
Jも一緒になって必死に戦うのがいいですね。
あれだけ反対してたJが盾になってエンターを止めるシーンは感動します。
遂にヒロムの中のメサイアカードを取り出し破壊することに成功する陣。
同時に消滅する陣の本体。
「13年、余分に生きられて良かったな」。
まさに名セリフのオンパレードです。
陣にとってもただ消えていくよりはヒロムの命を助けて世界を守る方が
いいに決まってます。
最後に自分が役に立てたという安堵もあったかもしれませんね。
しかし陣の欠けたデータが最後にこんな形で生きてくるとは全く
予想できませんでした。
ほんとよく考えられてますね。
昭和特撮の行き当たりばったりからは隔世の感があります。
って、実際離れてるか(笑)。

ところで陣の本体が消えてもアバターは本体とは別物なので、そのまま
生きられそうな気もしますが、そうではないんですよね。
これについてはゴーバスの設定がどうなってるのかはわかりませんが
私になりに解釈すると、陣のアバターは情報量が多すぎるため、
一定時間ごとに本体とデータをやり取りしないとすぐバグってしまう。
アバターがやられると本体にダメージが行くことからも、常にデータの
やり取りがなされているのでしょう。
つまり、完全に独立した存在ではないんですね。
なんかわかったようなわからないような解釈ですが(笑)、とにかく
最終決戦に陣が参戦できるのは上手い展開だと思います。
燃えますしね。

同様の理由で異変を察知するエンター。
こちらもバックアップから新しいデータを受け続けているのでしょう。
ただ、本人がメサイアカードを取り込んでいるため、データの安定性は
高いように思われます。
それに、そもそも人間である陣ほど大量なデータもなさそう。
エンターは自分にとってプラスにならない無駄なデータは最初から
取り込んでいません。
エスケイプが勝手に愛を集めたため愛は少々持っているようですが、
情けというのは基本的に皆無です。
友情、家族愛、思い出、信頼など人間には取り込み切れないほどの
データがあるのですが、それを切り捨てて神になったつもりのエンター。
でも、そうではないんですよね。
そういう人間らしさを形成する部分こそが一番大事。
制作側がゴーバスターズに込めた最も大事なメッセージではないでしょうか?
まさに絆ですよね。

御託が長くなりましたが、いよいよ最終決戦。
バックアップがなくなりショックを受けるエンターですが、自分には
切り札があると陣のデータを見せつけます。
如何にもな負けフラグなのですがw、エンターもいよいよ典型的な悪役らしく
なってきました(笑)。
ここで冷静なエンターなら亜空間に用はないと元の世界に戻ったでしょう。
またヒロムの弱点のニワトリを使うことも可能です。
しかしここでエンターは逆上してゴーバスターズを倒そうとします。
この辺りの抑制のなさは完全に初期メサイアですよね。
実はエンターもメサイアのウィルスに侵されているという、何とも
皮肉な展開です。

最後の戦いはもう説明不要でしょう。
今まで使ったことのない一か八かの技が出てくる辺りは如何にも
最終回って感じです。
最後まで強いエンター。
バスターズのマスクが割れていくのはお約束ですが、熱いですね。
エンターがヒロムを不完全なただの人間と失望するシーン。
やっぱりエンターはヒロムを普通の人間以上に評価してたんですよね。
一方、不完全だから人間だとヒロム。
独断専行気味だったヒロムが絆の大事さを知る。
そしてだからこそ強くなる。
ここにゴーバスターズのテーマが結実したように思います。

全員が一つになって遂にエンターを倒すバスターズ。
しかし、エンターは本当にいい敵役でしたね。
「C’est la vie、adieu ゴーバスターズ」。
「これも人生」ですか…。
最後に少しは人間に近づいたんですかね?
結局エンターもメサイアに乗っ取られてただけなのかもしれません。
ある意味エンターも不憫な存在なんですよね。
エンターを倒したと同時に消えていく陣。
なんか都合がいいですが、ダメージが大きくて崩れていったと
解釈しましょう。

最後、皆精魂尽き果てて空を見ながら勝利の感慨にふけります。
普通ならここでハッピーエンドなのですが、ゴーバスターズの場合は
亜空間が消滅するという最大のピンチが続きます。
もうやることはやったし、自分の親や陣と一緒に消えてもいいという
心境でしょうか。
ここで陣とヒロムの父親の霊体もしくは残留データが皆を叱咤します。
命をつないでいくというバスターズのテーマ的にはここで死ねません。
一方エンターが消滅したことで、取り込まれた人間たちも解放されます。
この辺はややご都合主義ですが、ヒロムは助けた子供たちとの約束を
果たすことができました。

消滅した亜空間から脱出して帰還するヒロムたち。
ここはわかってても感動しますね。
心配する森下と仲村、司令官。
そして亜空間消滅からいつもの通信音が流れた時の安心感。
素晴らしい演出です。
そして陣の(こっちはほぼ間違いなく)霊体。
正直ご都合主義で陣を助けることもできたと思います。
死んだと思った仲間が帰還してエンドというのは割とよくある
パターンですしね。
ただ、命を大事にする戦隊だからこそ守りたい人たちが死んでいき、
そして未来は救われる。
東日本大震災と原発事故の後だからこそ、子供だましにはしないという
制作側の意志でしょうね。
そして失われた命も決して無駄ではない。
それは生き残った人の中に絆として生きているのだと。

後日談は初期主題歌と一緒にサラッと流しただけでしたが、それだけで
十分伝わりました。
やっぱり初期主題歌の方がいいです。
森の管理人になって寂しげなJの姿に泣けますが、黒木が陣の代わりに
仲良くなろうというシーンもいいですね。
エンジニアを目指すリュウジ以外はヒロムもヨーコも何も決まっていません。
2人ともまずは普通の生活を取り戻すことからって感じですね。
戦いが終わっても皆の絆は不変。
そりゃ命賭けて戦った仲間ですしね。
大団円ってほどではありませんが、いいラストでした。

これにてゴーバスターズは終了。
助けたい人たちを助けられなかったというハードな内容でしたが、
これも現実です。
震災が実際そうでしたし。
そして、ゴーバスターズで忘れてはいけないのは、メサイアもエンターも
人間側が作り出したということ。
他の戦隊のように異世界とか宇宙とかそういうところから襲ってきたわけでは
ありません。
そして、犠牲になった人たちも不可抗力とはいえメサイアを生み出し、
世界が滅びそうになった原因を作りました。
単なる被害者ではないんですよね(非はありませんが)。
そういう面からも色々考えさせられる戦隊でした。
リアルタイムでも毎週見てましたが、今回配信で改めて見て、控えめに
言っても名作だと思いました。
時間が経つほど評価される作品だと思います。

以上でゴーバスのレビューは終わり。
次週からの配信はキョウリュウジャーなのですが、アバレンジャーの後に
私の一番思い入れのある戦隊、デカレンジャーが始まってますので、
そちらのレビューを書きます。
もちろん、キョウリュウジャーも王道で面白かったですよ。
ジャスミンも出てますし(笑)。
ではまた。

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